ヒモ夫の日常

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『きのう何食べた?』劇場版からでも”積み重ね”を感じる幸福映画!【感想・レビュー】

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けんじもしろうさんも最高でした

 

先日映画館で『きのう何食べた?』の劇場版を鑑賞しました。

 

BLグルメ漫画・ドラマとして人気を博する今作。けんじとしろうというゲイカップルの穏やかな日常と「レシピ本として使える漫画」と言われるほどの詳細かつ一般市民に寄り添った食・グルメ要素を主軸とした漫画・実写ドラマ作品になっています。

 

 

久しぶりに母親と映画を鑑賞できるタイミングがあったので彼女のリクエストでこの作品を見ました。映画館に着くと母に「チケットを買ってきて欲しい」と言われて軽く衝撃が走りました。

 

ここ数年はオンラインでチケットを買い、劇場で発券が普通でしたので母にそういった知見が無いことが予想外だったのです。幸い席には空きがあったし、お釣りはお小遣いとして収めていいとのことだったので喜んで貰いました。

 

私も母親も原作、ドラマ未鑑賞の全くの初見。ですが私に関しては、開始2分程度で軽く泣きました。

 

説明しすぎずに演技や表情も活用しながら、彼ら2人の関係性を想像させる工夫が随所に施されており少し想像力を働かせれば彼らの背後にある関係値を再現できました。

 

 

同姓であるということ

 

今作は男性同士のカップルのお話だったのですが、いわゆるBLという形を取ることで伝わるものがあると改めて理解しました。仕事の関係でBLというジャンルに興味を持ち、どエロ作品と心が暖かくなるような作品を読みましたがどれも良かったんです。

 

男女の恋愛フィクション作品と違うのはそこに「繁殖感」(造語です)を感じにくいことでしょうか。彼らにとっては性的な欲求ももちろん含まれる関係で、欲求を満たすことも重要だと思われます。しかしその行為の先には誰か愛する人と快感を共有するといったような、愛を想像させるのではないかと思います。

 

ちょっと何を言ってるのかわからないんですが、ヤリモク的な?下心的な?ものが不思議と薄らぐのがいいんですよね。体目的のキャラクターもノンケのデカちんにハマって大しゅきになっちゃう展開も多いですので^^

 

テレビドラマや映画作品なんかになると、性描写は避けられていますのでより「性別とか人種、快楽などを超えて当人同士の人間性を愛し合っているのだ」というイメージが生み出されやすいんだと思います。

 

2人もお互いを大事にしていて良かったです。勘違いしてほしくないのは性的なマイノリティと呼ばれる人たちへ理解がある、ということとはまた違うということです。どんな事であれ、対象を見聞きすることで楽しんでいるというだけです。

 

見世物にしているだけじゃないか、と言われればそれまでなんですよ。それはゲイカップルだけじゃなく、難病と戦う子供の映画とか、普通の恋愛映画もそう。感動している=楽しんでいると思っているので、その関係性や事象を自らの楽しさのために消費しているに過ぎないです。

 

私はどエロいBLが大好きなだけ。この気持を「優しさ」だと勘違いすることだけはしたくないと思っています。

 

 

”積み重ね”を感じる作品

今作は初心者にすごく優しい!男同士の関係性を描いた作品としてもそうですし、『きのう何食べた?』初心者の方でも楽しめるようになっています。私も1ミリもしらない状態で楽しめました。

 

節々にセリフで人間関係であったりキャラクターの設定を説明してくれているので安心です。そして2人のちょっとした言動や表情でこれまで彼らが積み重ねてきた物語が自然と想像できてしまいます。それがまた素晴らしい。

 

 

そしてまたグッと来てしまったのは「BL文化の積み重ね」を感じたことです。

 

映画館に居たのは私と母親、母くらいの世代のマダム複数、中高生の女子たちでした。BL作品は男性ファンももちろん居ますが、古くから女性のオタクたちのメインコンテンツでありました。

もともとオタク文化自体が恥ずかしいもので世間から冷ややかな目で見られてしまうことが多かったと思いますが、それが2000年代を堺にどんどんメジャーになっていきました。

 

そしてついにBLというジャンルも近年有名になりましたよね。実写ドラマを皮切りに注目されているコンテンツです。頭ではもちろん理解していたことですが今回再確認できました。

 

最初期に少女漫画から徐々に派生させていっていた巨匠たちは、土曜の昼間に映画館でマダム、女子中学生、20代男性がごちゃまぜになってやおい作品を見ているこの事実を予想できなかったのではないかなと。

 

笑いや涙などの共有をBL的作品を大きなスクリーンで見ながらすることで、BL文化の積み重ねを感じて泣けました。

 

母親とも観劇後に盛り上がりました。もっと色んな作品を味わいたいです。