【レビュー・感想】『アンタッチャブル』ー午前10時の映画祭
『アンタッチャブル』
(上のリンクは作品紹介です)
復活しました。「午前10時の映画祭」。
去年友人に存在を教えてもらって観に行きましたがチケットが売っておらず、なんか別の映画を観た気がします。
コロナで断念されていたようですが、今年4月からスタート。
ショーン・コネリー月刊ということで、今日見た『アンタッチャブル』と未観の『ザ・ロック』がやってます。
上映作品リストをまた載せておきますのでみなさんも確認して、映画館行きましょうね。DVDやPCで見るよりも、映画館で観ることに意味があるかと思います。
なぜなら観る以外に何もできない空間だからです。それが一番大きい。音がいいとか大画面とかじゃなくて、観る以外マナー違反だったり法律違反になるのでどんなつまらなくてもちゃんと見るんですよね。画面をぼーっと観察するしかやることがなくなるので、ちょっと奥まで見れるみたいな感じです。
個人的な映画館で観る意味はこれです。クソ映画でもどっか面白いところを探さざるを得ない。
午前10時の映画祭では今後、黒澤明の作品や、キューブリック2作。グッドフェローズやファイト・クラブ、モスラの4kやスタンド・バイ・ミーなど見る予定です。
とか言いつつたくさん見ちゃうと思います。観たことのある作品も多いですが、やはり映画館で観たい!!!
上映作品一覧 - 午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作
コテコテの刑事モノでした。
ここからは『アンタッチャブル』の話。
どうやらテレビドラマから映画になったようです。実在する捜査官の自伝をテレビドラマ化し大ヒット。それを映画にしたとか。
通りですっ飛ばした展開が多いわけですね。
さっぱり言うと、劇場版「相棒」でした。※観たことありません
王道の刑事モノで、ロバート・デ・ニーロ演じるアル・カポネという大物ギャングと、シカゴに出張でやってきた捜査官の戦いを描いた作品です。
ウェスタンのケレンな感じ、銃撃戦など色濃く反映されていると感じました。有名な西部劇は割と見たので、感じられることだと思います。映画ブログ様々です。
こういう系統の映画は、正義であったり仕事や人生に対する葛藤を軸に展開されます。これも私の印象でしかありませんが、カウボーイやサムライはいつもそんな事ばかり考えていますよね。ワクワクするエンタメの中に戦う男の切なさがあります。
いつもテーマは葛藤と寂しさです。最後に勝つのはやはり農民だぜ。
好きなところ
私は映画のオープニングが大好き。やっぱりドキドキさせてくれるシーンが頭にあると背筋が伸びます。
そしてそういえば最近背筋の伸ばし方がわかりました。今まで私が背筋を伸ばすだと思っていたことは、胸を張るでした。なぜみんな春日さんみたいにならずにいい姿勢を保っているのか不思議だったのですが。
最初に製作者たちの名前が続々流れて行く感じでした。タイトルの『THE UNTOUCHABLES』の演出がめちゃくちゃかっこよかったです。
そして初めのシークエンスなんですが、高級ホテルの外観が映され、中に入っていきます。お客さんの中に目立つスーツを着て女を侍らせている方たちがみえる。VIPルームの内装を写しながら、物語の説明が入ります。(禁酒法がシカゴに出て、酒の密売がめちゃ流行ってまっせ~って)
でたくさんの人間の中心に横たわり髪を切ってもらっている人物がいます。タオルを顔にかけられており誰かわかりません。
ですが観客はすでに誰か理解していますねえ。ドキドキします。
取り巻き達が、ぺちゃくちゃその人物がどれだけ街を支配しているか説明をしてくれて、理髪師の手でタオルがどけられると…
ロバート・デ・ニーロの顔がドン!!
めちゃくちゃ盛り上がりました。デニーロだあ!みたいな。
これって非常に面白い現象ですよね。特に意味のないシーンですし、盛り上がるわけでもないんですが、ロバート・デ・ニーロの人間的な魅力だけで成り立たせようとしているんですよね。
今この表現ができるかと言えば難しい。俳優の価値が下がってしまったと言うよりも、より現実とフィクションの線引がはっきりとしたような気がします。映画スターが今よりもアイコニックであり憧れや、夢があったと思います。
今は俳優たちへのスタンスが皆変わっていますよね。生活と切り離されているというか、それはそれこれはこれ、ってな感じ。娯楽、映画や映画スターがそれほど生活に密着しなくなっているというか。難しいですが、少しドライになったような気がします。
相対的に「推し」という概念が台頭し、より好みが細分化されているわけですね。民衆全員が憧れるカリスマではなく、それぞれが誰かの推しになっているというか。
たった数秒のロバート・デ・ニーロで映画館がどよめいたんだろうなあ、なんて思いながら観てました。素敵です。
好きなキャラクターはニッティというアサシンなのに目立つ白いスーツの強面ギャング。超良かったです。
鑑賞しているお客さんは少なかったんですけど、隣に同世代かちょっと上のオタクがいました。彼は一番盛り上がると言っても過言ではない、主人公とニッティの対決シーンでいきなり
「フツフツフツフツフツフツフツフツフツ…」と音を発し始め
座席に頭をガンガン叩きつけて震えだしました。ローターが床を跳ね回るような感じ。
最後ニッティは、主人公の正義と復讐の葛藤の末に、高所から突き落とされるのですが、ニッティが駐車してあった車に激突する瞬間に、ガッツポーズまでしていました。
ちょっと驚きましたが面白かったですね。午前10時の映画祭を見に来る若者なんてみんなそうですよ。
私は主人公の葛藤とシンクロして、グッと苦しくなってしまう場面だと解釈しました(テーマを上記のように捉えているため)が彼は主人公が感情を爆発させたのとシンクロして思わずガッツポーズまでしてしまったんだと思います。
映画館って面白いですよね。こんなに対極な楽しみ方をし、感性がバラバラな人間たちがおんなじ場所で同じものに感動する場所なんですよ。
ほんと映画館は面白い。