ヒモ夫の日常

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大学生と名画その46「戦場にかける橋」(1957年)

「戦場にかける橋」(1957年)

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また食らった

こんにちは。ワイマックスを思い切って解約し、お目当てのWi-Fiを申し込んだら、申込み終了していた俺です。今日は映画も長い、借りてるアパートの光熱費の口座引き落としができておらず滞納分を払うことになる、そしてWi-Fi。その間に高校生の頃の気持ち悪い思い出や、中のいい友達と絶縁してしまったことなどを思い出し、すっかり心は鬱ブームになってしまいました。世の中ってなんでこんな理不尽なんですか?

今日はそんな映画です。このそんな映画ですっていうのはボケでしたね今までは。でも今回はあってます。そんな苦しい映画です。そして久しぶりに長かったです。

リストによると

ジャンル:アクション

監督:デビット・リーン

主演:アレック・ギネス ウィリアム・ホールデン 早川雪洲

コメント: アラビアのローレンス/逢びきの名匠D・リーンが描いた戦場ヒューマン巨篇。米英日の名優の共演も見もの(カンカンリストより)

 って感じです。巨篇って書いてあるだけで震えます。長い映画ってのはマジで削られます。24時間しか無いんですよ一日って。その間10時間くらいは眠るとして、2時間程度はお風呂やトイレなどの生活に必須な行動で消費しますよね。もう映画が2時間も3時間も撮られるとね、ほんの少ししかもう残らんわけですよ時間が。雀の涙ほど。いくらこのリストで一、二を争う「アラビアのローレンス」を取ったリーン監督でもやりすぎです。まじで今日はもう鬱ブームなのでこういうことしかかけません。

ほんと新鮮な映画でした。戦争ものでこういう3つの立場っていうか、アメリカ、イギリス、日本、の軍人さん達が出てきてそれぞれ感情があってみたいなやつは初めてじゃないですかね。戦いというよりは心的な話なんですよね。しかもイギリスやアメリカの軍人さんが日本の捕虜になっていて日本の軍人に奴隷として使われる、、、みたいな始まりなんですよね。いつもは敗者側じゃないですか、そこも戸惑いました。それも日本人だってこんなにひどいことをしていたんだよ!とかいうアレな感じじゃなくて割と愚かめに描かれているんですよね。後述します。

戦時下における人間の尊厳や名誉、戦争のむごたらしさを描いた普及のドラマ

1958年アカデミー賞で7部門を受賞した傑作。戦争という極限状態の中でそれぞれの人間の立場から描かれる葛藤を描く。主題歌の「クワイ河マーチ」はあまりにも有名

第二次世界大戦下のビルマ。日本軍捕虜収容所に、ニコルソン大佐率いるイギリス軍捕虜が送られてくる。所長・斎藤大佐は、彼らにアメリカ軍少佐・シアーズと共に橋梁建設の労役を命じる。だがニコルソンはジュネーブ協定に反すると主張し、斎藤と対立する。

1958年アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚色賞、主演男優賞、撮影賞、作曲賞、編集症の7部門を受賞。フィルムはアメリカ議会図書館に永久保存されている(U-NEXTより)

 タイプする腕が痛い。鈴木ゆゆうたさんはピアノ弾きすぎて前腕筋すごかったですね。「葛藤」という言葉。ぴったりでしょう。さすがU-NEXT。ドカンドカンやるだけが戦争映画じゃないんですね。しかもそんな映画だからこそドカン来た時の迫力と言ったらもう。

クワイ河マーチ」もすごいです。あの運動会で行進とかする時の音楽ですね「サル、ゴリラ、チンパンジー♬」って替え歌するやつですね。これは好きなところに書こうかな。

主人公というか、主体なのは捕虜たち。それを使うのが日本人です。この違和感がすごくてずっと不安定な精神状態で映画を見ることになります。しかもなんか仕方ないんですよね。みんながみんな。アメリカ議会図書館に永久保存してるってことはもう資料ですね。エンタメの粋を超えたものになってるんじゃないですか?

どんな映画?

まさしく軍人たちの「葛藤」をメインに描いた映画です。心戦争ですよ。

メインのキャラクターは、アメリカ軍少佐のシアーズ、イギリス軍のニコルソン大佐、我らが日本の斎藤大佐。それに付随する各軍人たちって感じです。当然ビルマは斎藤のシマです。日本軍を有利にするためにクワイ河に橋をかけないといけないんですよ。圧倒的に劣悪環境なビルマ捕虜収容所なので、けが人が多くイギリス軍捕虜を連れてきて働かせるほかない。斎藤からしたら捕虜なので奴隷同然です。しかしニコルソンは条約に将校は労役させてはいけない、との記載があると主張し全然橋づくりが進まないんですね。そんな中アメリカ軍のシアーズは収容所で幅を利かせていて、脱走を企てるんです。ジャングルの中で脱出は99%不可能と言われている場所ですが、そこから奇跡的に一人だけ脱走することに成功します。

依然として斎藤とニコルソンのぶつかり合いは続きます。とはいえこの頃まだ日本は勝者なため一方的な拷問にニコルソンが耐える形になる。見かねて他の部下たちは歩み寄るようニコルソンに言いますが「軍人であれ」の一点張り。さすが誇り高きイギリス軍大佐です。

斎藤は斎藤なりに上階級の将校たちからの命令で動いています。この橋が期限内に完成しなかったら「切腹」なんですよ。ここが日本軍っぽいですよね。大切にされていない。しかも大佐はストライキを辞めないし、他の捕虜たちもダラダラ働き、建設は一向に進まない。斎藤も焦りを感じます。仕方なく斎藤が折れニコルソンを自由にしました。

そこでニコルソンはイギリス軍のホコリをかけて橋を建設しようというのです。普通は敵が有利になるだけなので手抜き仕事で良いはずですが、部下たちを集め完璧な橋の構想を練ります。ここで日本軍の愚かさが露呈します。地盤の調査から、材料、マンパワーに至るまで全くの見当違い。沼地なので絶対にここには橋が作れない。そして指揮官の日本兵も建設の経験がなくこれでは一切完成しないのがわかります。これがまた斎藤を苦しめていくんですよね。そして観てる俺達もなんか恥ずかしいと言うか、もどかしい思いをする。外人さん達がみたらどうなんでしょうか。ほぼニコルソンが実権を握り建設を進めていきます。

ちょっと長すぎますね。無事脱走したシアーズはイギリス軍のキャンプにたどり着きます。そしてイギリス軍から「ジャングルのあの橋を爆破せよ」と命令される。皮肉にも大佐がプライドを掛けて、奴隷になることを拒んで作り上げようとする橋を同胞が壊しに行くっていう形になるんですよね。

そこから3つの立ち位置で、2つの思惑(橋作りvs橋壊し)が進んでいきます。その中で様々な「葛藤」が描写されていくんですね。鬱になりながら観たのに面白くて書いちゃいましたね。こんなに。

好きなところ

まずクワイ河マーチのシーン。初めてニコルソンが軍人(捕虜だけど)を率いて斎藤に会いに行くシーン。普通は軍人たちが行進するときって音楽が演奏されますよね。自衛隊にも楽団があるくらいですし、音楽と人間はやっぱ切り離せないんですよ。でも彼らは捕虜。もはや軍人とは言えない存在なわけです。でもニコルソンは部下たちに「口笛」でクワイ河マーチを演奏させながら行進するんですよ。それが非常に滑稽なんですけど、彼ら(ってか八割ニコルソンですが)のらしさが出ていて最高にかっこいいです。映画館で観たいなあまじで。

でこの口笛行進じつは2回行われます。上の彼らが軍人としての威厳を失っていてダラダラしてて口笛もところどころ下手で、みな生気がない状態でやってるシーンと、橋が完成してそこを口笛行進するシーン。この比較に痺れましたね。彼らが勝ち取ったものはとてつもなく偉大なものだったのだと思います。そしてそんなニコルソンとは逆に、どんどん憔悴していったのが斎藤です。彼は非常にセリフも少ないんですが、いろいろと効くシーンがあるんですよね。たまらないです。

 

あとはちょっと笑ったとこで、斎藤が部下に「お茶」というとどんどん下っ端に伝言命令ゲームになっていくんですよ。でビルマの雇われ兵士たちもいるから日本語下手くそなんですよね。それが「食事」で天丼されたりして、笑っちゃいました。

まとめ

シアーズサイドのことを書ききれませんでしたが、彼らから観た捕虜たちも面白かったです。彼らも彼らでまた葛藤があって、ラストの橋を爆破するかしないか・・・みたいなところや、ニコルソンと斎藤がほんの少し融和するシーンとかもいいですね。

映画の最後にこのメインキャラ3人の「葛藤」がどういう形で語られているのかっていうのも見どころです。いい映画でした。面白かったです。