【レビュー・感想】劇場で見たことが自慢になる映画『JUNK HEAD』
【レビュー・感想】劇場で見たことが自慢になる映画『JUNK HEAD』
出会いはアトロクでした。
話題のぷいぷいモルカーの見里監督が、宇多丸さんのラジオに出演。
ストップモーションアニメ界のレジェントと何やらよくわからないおじさんと共に、ストップモーションアニメについて語る、という内容。
モルカーは僕ももちろん見ましたし、毛虫とかきのこのストップモーションアニメは学校をずる休みした午後に見ておりました。
久しぶりに触れたことのない界隈(ストップモーションアニメ)に関するお話が聞けて、たまにはアトロクも聞いてやろうと思いました。するとよくわからないおじさんが出てきます。
そのおじさんは”堀”というおじさんでした。
話を聞くと、一人で長編ストップモーションアニメを撮った、映像制作未経験、人形は職業を活かして全部手作り、10年近くかかった、しかも超面白いらしい、宇多丸もレジェンドも唸ったらしい、どうやらリアルSFモノらしい、人類オワコン時代らしい、でもパペットの可愛らしさもあるらしい、
これ見るしか無くねーーーーー???
ということで、狂気のストップモーション長編アニメ映画、『JUNKHEAD』を観に行きました。金曜日の宇多丸氏のラジオでは
「きっと、当時リアルタイムで劇場で見たことを一生誇ることができる作品」
と評されていました。
正直なところ私は未熟なので、そこまでの驚きは感じることができませんでした。
悔しい。
自分より数段うまいゲーム友達がいるのですが、彼はある格闘ゲームをやらなくなってしまったようです。
段位が上がれば上がるほど、格上のプレイヤーの”作業”が読み取れる。そこまでの時間や努力を費やしても、プロになるのは一握り。そこで意欲が削がれてしまう、と言っていました。
宇多丸さん達のようなベテランは、すごくタフです。そのコンテンツから身を引きかねないギリギリに立ち映画を見ていると思うんですよね。
私とは語彙、映画から読み取れることの多さ、見てきた作品、どれも歴然の差があります。だからことの重大さに気づくことができない。
十分に作品を楽しんでいるとは思えない気もしてしまいます。
風俗嬢の現状のサービスに満足している時に、実は裏オプションでもっと凄いことがあったのに気づいたような、損をしている感じ。
まだまだ楽しみきれないなあ、と感じてしまう瞬間でもあります。
そこまで、気にすることでも無いので、今日ものほほんとモンスターハンターライズをしているところです!
狩りも映画も自分流の楽しみ方をさがせ!!!
『JUNK HEAD』
めちゃくちゃ長生きになった代わりに、子孫を残すことができなくなった人類。
人類が生み出した生殖活動が行える人工生命体「マリガン」。
世界は謎のウイルスにより大混乱。
人類の半分くらいが死んでしまう。
マリガンと人間は馬が合わず、地上と地底で棲み分けが行われ、マリガンは独自の進化を遂げていく。
自らが生み出した生命体から、「生殖のコツ」を得るために調査する人類。
主人公は地底探求の高額アルバイトに乗り出す!!!
というような感じ。
久しぶりにあらすじを自分で書きました。
本当は
「気が狂った人形アニメ」
というただ一つの情報だけを握って劇場に向かってほしいです。
ハードなSF世界ながらも、学校を休んだ小学生男児が見てもくすっと笑ってしまうようなギャグもあり、カルト的な映画だと思っていたのですが、王道な熱い展開もある。
たくさんの映像作品や、監督の気持ちが散りばめられており、あのパペットの実写世界がそれを引き立たせておりました。
良い忘れていましたが、とんでもなく気持ち悪いシーンも多々有りました。
良い意味です。
20代男性でも目を背けたくなるようなシーンも。
しかもそれが、週刊少年漫画雑誌のデスゲーム(笑)漫画のようなグロテスクさではないのが素晴らしかったです。
気味の悪い気持ちの悪さ。体験したことの無いキモさでした。
ストップモーションの長編映画が初めてなこともありましたが、率直に言って良かったです。
シネマ・ロサ(映画館)の雰囲気も良かったです。
喜んではいけませんが、割と客数も少なく、感情のゆらぎを抑制すること無く観ることができました。
カッコつけて書きましたが、フツウに書くと声を出して笑うことができて、なんだか良かったということです。
劇中で気持ちを変化させる映画
見始めて数秒で、これは面白い映画だとわかりました。
宮崎駿さんも、風の帰る場所で「正座してみるべき映画はすぐわかる」とおっしゃっていましたね。真似するわけではなく、みんなもよくあるでしょ。これ絶対面白い!!ってやつ。
そこから不気味な世界観と、パペットながらの字幕ゼリフ、音声は『ジャンクヘッド』語を話します。背景や建物、メカも超絶いいです。
僕の好きなのはなんと言っても「縦電車」。
『ジャンクヘッド』の世界は、物理的、モチーフ的に「縦」の繋がりがあって、通路や階層をつなぐ役割を担うのが、移動手段としての「縦電車」でしたね。
貨物用のエレベーターのでかい版を想像すればだいたいOK。
細かなデザインや、操縦、乗り込む主人公の動きなど、ストップモーションとは思えないような動きの細かさに震えました。
ストップモーションとは思えない・・・?
そうなんですよ。途中からストップモーションであるということが、作品から乖離していく感覚があります。
直感的に見て、実写やアニメ映像を見ているような感覚を覚えるのももちろん、設定や世界観もそれを後押し。
そこで自分にフィルターが掛かっていることに気づきます。ストップモーションにしては、楽しみ!とかエグい!人形なのに!
とか、映画じゃなくてストップモーションアニメ映画として見ているということに気づく。
で、普段当たり前に、何らかのフィルターが掛かった状態で映画を見ていることも実感。これに関しては、より楽しめるフィルターを持参すれば良いので解決済みですが。
その楽しみ方が途中からどんどんわからなくなってくるんですよ。
肩の力を抜いて観るべきなのか、でも心の中の宮さんが「正座しなさい」とささやくんですよね。
そのうち、監督の描きたいことを描く手段として「コマ撮り」を選択しているだけであって、脳内でアニメや実写に変換して観るのが正しいのか?と思ったり。
果たしてコマ撮りじゃなくなった時に、素晴らしい!と自信を持って言えるのか?とかごちゃごちゃ思ったりしましたね。
今振り帰ると、どの形だとしても面白い。今回の選択で正しいかどうかは、見る人次第かと思います!
まとめ
中身がなさすぎて引いてますが、リハビリなので許してください。
なにも見たくないし書きたくない状態だったので、これくらいで終わります。
少しづつまた欲を戻していきたいと思います。