ドキュメンタリー修行『なぜ君は総理大臣になれないのか』【感想】
ドキュメンタリー修行の2作目は、『なぜ君は総理大臣になれないのか』です。
これもまたBRUTUSに載っていたものですが、もともとは映画に詳しい友人にも評判がよく気になっていた映画であったので鑑賞しました。
数々の作品を手掛けるドキュメンタリー監督である大島監督が、「家族の反対を押し切って出馬する」という妻の同級生の男性に興味をもち、なんとなくカメラを回してみたら、なんだか面白そうな男だぞ!!
ってなります。そこから2020年までの17年間を映した作品になっています。
このタイトルから、ダメな議員や政界の腐敗を映していく……みたい映画だと思いきや、小川淳也さんという監督をもってして「政治家に向いてない」と言われる、
極めて真っ直ぐで論理的で正義感のある代議士にフォーカスしています。
彼が初めて出馬した選挙から、大混乱を呼んだ(その頃私はクソガキなのでなんの興味も持ってなかった)小池都知事による「希望の党」のゴタゴタまみれの選挙。そして最後にはコロナ禍で、小川さんの意思を問うシーンまでをカメラに収めています。
無知な僕には知らないことばかりで、とにかく目が離せない映画でした。しかしながら選挙を前にした地方の独特な空気感は子供の頃から感じていたので、現実感を持って彼らを見届けることが出来ました。
大島監督の他の映像作品を観たことがないので、口出しする刺客は無いですがディープウェブ・アンダーグラウンドの中に沈むこのブログは日光も誰の目にも届かないので書きます。
ほんとに監督自身が小川議員に特別な思いがあること(というか誰もが彼には想いを重ねてしまう)がわかりました。監督自身の意見を述べたり、わざと痛いところをついたりして彼の人間性をあぶり出し、上面をも引き剥がしてしまっていてそこに大変しびれました。
こういうドキュメンタリーの作り方もあるのだなと思いました。
序盤に、「自分の子供が政治家になってほしくない」と語る小川議員のご両親を観て「大変そうだけど、なんでだろ~(ハナホジー」なんて思っていましたが、映画後半で「政治家の妻にはなりたくないw」と語る娘さん2人をみて、「わかる~wあーしも絶対ヤダw」ってなってました。
それほどに過酷であるし、制約が多い生き物です。しかも小川議員のような「政治家に
向いてない」タイプの方にとっては非常に難しいことだと思います。その一方で、小川議員には自らの希望を重ねたくなる魅力があるし、それをうまく表現できていると思いました。とくに本人以外から伝わる彼の本質が非常に魅力的です。
そしてこの冬12月24日にはこの作品の続編が公開される事が決定しています。タイトルは『香川1区』。
第49回衆議院議員選挙における香川県小選挙区に出馬する小川議員にフォーカスした作品です。選挙区で当選することを願った清い信念を持った代議士の戦いが見れそうです。
ネタバレもクソも無いですが、この結果を受けてどのような映像作品になっているのか、小川議員とその家族、周囲の人たちを観るのがすごく楽しみです!!!
次は何を見ようかな。