ヒモ夫の日常

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【ネタバレ感想】スリラー映画『OLD』結局1番怖いのは人、じゃなくて人生

『OLD』

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巷で話題のスリラー映画、『OLD』を見てきました。

 

仕事終わりにどうしても映画が見たくって時間を調べたらこの作品しかなく、私はホラー映画が苦手なので友人を誘って見ました。

 

すごく良かったです。満足。

 

ホラー映画が苦手な理由は単純に怖いからですが、友人がいたこともあり、見れました。というか劇場だとホラーもいけますね。

 

自宅で観るとつい、トイレに立ったときに怖くなったり、窓の外を観るのが嫌になったり、冷蔵庫の音で寝れなくなったりしますが、映画館はやっぱり別世界。

 

出ればもうなんとも無いわけですね。

 

 

今回は『OLD』のネタバレ感想です。みたい!人用と、見てきたぞ!人用で分けてありますのでご自由に。

 

 

『OLD』気になってます!って人用

 

この映画は、”何”が怖いのか

 

 

かなり見ていて”楽しい”ホラー映画でありました。

 

この映画の怖がらせたいものが新鮮に感じたからです。

 

ここでいう怖がらせたいものっていうのは、例えば幽霊であったり、人間の恨みであったり、怪奇現象、宇宙人、精神的な病気、ゾンビ‥‥etc

 

といったものです。

 

この映画は、とある家族が訪れたビーチは時間がとんでもないスピードで過ぎていく変な場所だった!

 

という設定から始まります。故に予告などもそう謳っています。ここで私が思ったのは、

 

「時間が早く過ぎ去る場所で一体何を怖がれば良いんだろう?」

 

ということです。そこにおばけが出るのか、さらなる怪奇現象が起きるのか、「老い」をテーマにしているのか?

 

などなど疑問に思っていたのですが、その回答が非常に面白かった。

 

あくまで個人的な解釈ですが、映画を見て、恐怖を感じていくうちに

 

「なるほど、オレは人生を怖がっているんだな」

 

と感じました。そこからはやってくる展開が更に怖く感じましたし、この映画の遊び心というか、やりたいことがすっごく面白くて感激していました。

 

カメラワークや音楽、不安を伝えるにはやっぱ人のバストショットでしょ!と言わんばかりのアングル。

 

切り取る部分を限定して、あえて騒動のすべてを見せないことで不安を煽っていく感じ。

 

ホラーっぽい作り方と、怖がらせるものの新しさで尿意を限界まで我慢しながらも一瞬で見終わってしまいましたね。

 

自分は映画にあんまり怖さを求めていない人間なので、こういう面白さみたいなのを発見できたことが素直に嬉しかったです。

これからみたいなって思ってる方もぜひ、何が怖いのかな?って考えて鑑賞してみてください。

 

詳しいレビューは後述します。

 

此処から先はネタバレです

 

 

 

 

 

 

 

『OLD』みたぞ!な人用ネタバレ感想

 

人生が怖いってどういうことか

 

先程、人生を怖がっているんだな。と書きましたがそれは一体どういうことなのか。

 

 

映画を思い出して観ると、奇妙で怖いと感じたシーンってどれも人生で経験しうる、もしくは身近な人が実際に経験していることだったりしませんか?

 

 

腫瘍ができてしまったり、アルツハイマー病になって外の世界が信じられなくなったり、出産したり、人が死んだり、離婚しそうであったり、耳が聞こえなくなったり、目が見えなくなってしまったり、流産してしまったり、骨折したり、自分の姿が醜くなっていったり。

 

もちろんホラーとして成立させるために音楽やグロテスクな映像などもありましたが、あの狭い砂浜の中で私達が観て、不安になったり恐怖を感じたことって、生きていてありそうなことばかり。

 

 

考えてみると人間って、辛いことや苦しいこと、怖いことが生きていて多々あります。私達がそれを乗り越えられるのって「時間」があるからですよね。

 

冷静になって考え、打開策を試してみる、とか悲しい気持ちがなくなるまで待つ、

 

みたいな方法が取れるから、大事な人の死や自分の体に起きた不都合なんかを飲み込んでいける。

 

 

でもこのビーチではそのどれもが、一斉に襲いかかってきます。気持ちの整理とか、何らかの対処をさせる暇なんて与えずそのイベントがやってくる。

 

それが怖いんですよ。焦るし不安になるしで、耐え難いんですけどよく考えれば日常で誰もが乗り越えるであろうことだったりする、みたいな。

 

この発想!

 

人生の嫌なことが間を開けずに起こったら人間って怖いんじゃね?

 

って考えたんですかね?(笑)それがめちゃくちゃに怖くて、面白かった。感動しました。「時間」ってこんなに人間を麻痺させるのかと。

 

 

そしてラストシーンで、その麻痺するということの怖さも突きつけてくる。

 

あんだけ冷静さを失い、怖がり、このビーチを脱出したいと願っていた人物たちが

 

「なんでここから出たいんだっけ?きれいなところじゃないか。ずっとここにいよう」

 

って言いながら死んでいくんですよ。

 

この人間の「忘れる」という機能。生物としての図太さが超怖くて震えましたよ。

 

あんだけ不倫だ、病気だで揉めていた2人が。

 

それも昼間に人が何人も死んでるし、なんならその手で人殺しもした人たちが。

 

「このビーチ良いところだなあ。君と2人でずっと一緒にいたいよ」

 

なんて言いながら死んでいく。この単純さというか無頓着さというか。結局は人間の本能というか、動物的性質に1番ビビるという(笑)

 

 

これは私の解釈ですが、すっごく楽しく怖く観ることができました。

 

なんか最後はコロナワクチン向け?みたいな展開でしたが、それはおいておくことにします。

 

とりあえず我々は、人間が体験するであろうことを立て続けにやってみたら割と怖くなりそう、っていう治験の被験者だったんかーい!と。

 

とてもおもしろい映画でした。満足。