ヒモ夫の日常

駄文、愚文

大学生と名画その57「泥の河」(1981年)

「泥の河」(1981年)

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きっちゃん・・・

こんにちは。深夜アニメを見れるテレビが祖母の部屋にあるので、そこで深夜アニメを祖母と一緒に見ている俺です。しかも死後の世界の学園戦闘ギャグみたいなアニメで、祖母はなんのこっちゃわかりません。せめて筋トレするアニメなら良かったんですけど。「でもキャラクターたちかっこいいではあるよね」って方言で言ってました。なんかオタクが友達にアニメ勧めたけど引かれているときみたいなセリフですよね。

今日はそんな映画の「泥の河」です。まさしくドロだらけの汚い川です。おばけ鯉もいます。この上の画像でバケツを持った少年が「きっちゃん」です。主人公の親友です。そしてその隣の船は「きっちゃん宅」です。ちょっと格ゲーマーみたいな書き方になってしまいましたが、ここが彼の家なんですよ。宿船というものみたいです。ゴーイング・メリー号みたいな船なら生活できそうなものですが、これじゃウチで踊る事もできないですよね。

リストによると

 ジャンル:問題作

監督:小栗康平

主演:田村高廣 加賀まりこ

コメント:忘れられた佳作。川っぷちの食堂の少年と、対岸の廃船に住む兄妹の出会い。小栗監督は以後沈黙を続けている。

リストより

 ってな感じです。結構昔にこのリストが作られたことが分かるコメントになっていますね。廃船って失礼な、きっちゃん銀ちゃんお母ちゃんはしっかりここで生きているというのに。戦後の貧しい人々の生活を描いた映画。しかも平等に貧しいんじゃなくて格差社会、階級社会の最下層で生きる人達です。あんな川っぷちに食堂無いもん普通。そして冒頭から「オイオイオイ」って感じのシーン。僕の好きなラッパーSHINGO☆西成さんの曲を思い出しました。舞台も大阪ですしね。子供とか大人関係なく、ああいう日常があったんでしょうか。

宮本輝の同名小説を映画化。社会の底辺で生きる人々の姿を、子供の視点で丁寧に描く

監督は、これが第1回作品となる小栗康平。健気な子供が大人の魍魎とした世界を覗き見してしまうくだりは直視できない。友情、思いやり、感謝の大切さを思い知らされる。

昭和31年。大阪安治川河口付近にある食堂の息子。信雄は少年・喜一に出会う。喜一は、対岸に繋がれているみすぼらしい舟に住んでいた。ある夜、信雄は喜一の家に誘われ、蟹の巣に日をつけて遊んでいる時、ふと衝撃の光景を目の当たりにする。

第55回キネマ旬報ベストテンで日本映画1位、日本映画監督賞、助演女優賞を受賞。

U-NEXTより

 ってな感じです。これが第1回なんですね。

なんかほんとこんなふうに育ってきた人たちもやっぱりいるんだよなあって思いました。もちろんフィクションだということは重々承知ですが、戦時中もそうですし、終わったあとの虚しさを子供ながらに感じて生きて、その上で家族とか友達とかがあるんだなあって。もう他の国の人ぐらいの価値観の違いはありますよね。

もう船とも書いてくれません。舟です。しかも自力のエンジンで動いてないから、ガチで廃船ですね。あれは。このあらすじにある、「ある夜」まででだいぶ時間ありますよ。超すっ飛ばして最後の方だけを書くパターンのヤーツですね。

どんな映画?

静かな映画です。その雰囲気に関西弁の小気味いい感じとか、パワーがありつつ温かい感じが非常にマッチしてます。主人公のぶちゃんの両親の優しさ、というか大人の責任感が良いです。基本的に子供視点で描いているので、プロットで与えられている情報は子供らとほぼ同じです。セリフに関してもちょっと難しい言葉や、エグい話も理解できないはず・・・みたいな感じで小人たちの前でも話すので。しかし私達はもう立派なオトナ。「舟の前で客引きを手伝っとるガキやろ」みたいなセリフでいろいろ分かってしまうんですよね。のぶちゃんはなんにも知らないんですよ。そこが仕掛けの部分です。

今までも運動靴と赤い金魚や、禁じられた遊びなど、過酷な状況を過酷な状況であることを知らずに生活する子供たちを映している作品がありましたが、あんな感じです。ましてやこれは大阪が舞台なのでより近い感じがしますね。

無邪気だった子供たちの、終盤の表情や涙がマジでなんとも言えないですね。なんでかわかんないけど、泣いちゃうんですよのぶちゃん。悔しいやら可哀想やら色んな感情が入り混じった謎涙です。私も台所でおしっこを漏らして謎涙を流したこともありましたが、それとは全く違う複雑さの謎涙です。

多分子役の子も「ここで泣けって言われたけどなんだろう・・・」って思ってるくらい複雑な涙シーンでしたね。ここすきなシーンなのでは???

好きなところ

まずのぶちゃんときっちゃんの顔です。

俳優さんや女優さんをテレビや映画で見るときって、「もっとかっこいい男にしろよな~」とか普通に思っちゃうし、口に出しちゃうし、ツイートしたりしちゃいますが、子役だとなんか悪い気持ちがするのは何故なんでしょう。きっとこの二人もおとなになってからさんざん言われるに違いないのに、子供のときにはなんか申し訳なくなってしまいますよね。

まあストレートにいうともっと可愛い少年たちでも良くねえかってことです。そうでしたが、味がドンドン出てくると言うか。可愛らしくなってましたね最後らへんは。お姉ちゃんのぎんちゃんは超美少女でしたけどね。

のぶちゃん家族が、キッチャン達兄妹をちゃんと受け入れて「家族」っぽいことをしてあげるところも好きです。楽しそう。幸せですよねああいう空間って。そしてきっちゃん達のお母さんも決して悪い人ではないです。優しいし超美人。生きていくって難しいんですよね。

あとはのぶちゃんが舟に遊びに行ったときに、ちょうど誰もいなくてきっちゃんママがたまにはのぶちゃんの顔見たいと言って奥へ招き入れるシーンも好き。超かわいいんですもんきっちゃんママ。「おねショタだーーーーーーーーーー!」って叫んでしまいました。心の中でね。

というか花澤香菜さん結婚おめでとうございます。私がアニメを見ることしかしていなかった時期に必ずと行っていいほど深夜アニメには花澤香菜さんが出ていました。あの時期が私にとってのアニメ全盛期です。あの頃の声優さんたちはみんな25,6だったので現在みんな結婚していくの当たり前ですよね。幸せならOKです。って感じ。多分私が声優オタクだった時好きだった人で結婚してないのは伊藤かな恵さんぐらいじゃないかな。おかしいですね。俺あいなまと結婚するつもりだったのに。

まとめ

まあ声優さんだって人間なので結婚しますよね。最初から交わるはずのないのにしかも今全然追っかけもしてないクセして少しさみしいんだから、ガチ勢のオタクたちは心中お察しします。さぞ葛藤しているでしょうね。Twitterでは気丈に振る舞っていても多分キーボードはぐしょ濡れですよね。

後半花澤香菜さんに引っ張られてしまいましたが、そんな感じです。蟹の巣に火をつけるところ別の遊びでも良かったのではと思いますが、舟の上なのであれしか無いですよね。そこもしっかりあの謎涙のフリになっていますし。お母さんのお仕事現場を見てしまったあとの、きっちゃんとぎんちゃんの表情がなんとも切ないです。そしてのぶちゃんの謎涙。今回の映画は謎涙が一番のキモでした。謎涙映画です。