大学生と名画その56「東京物語」(1953年)
「東京物語」(1953年)
こんにちは。ついに映画を見る前にも現実逃避をするようになりました。なんか超絶億劫になるんですよね。でもしっかり秘密兵器を用意しています。今週の金曜にでも届くようで、気分転換、あと44作品を乗り切るための秘策です。そして大学が怒涛の期末テスト期間が近づいてまいりました。その時は少し休み休みやる方向に持って行きます。毎日更新できなくなるかもで、すいません。ま、誰からもしろって言われてないんですけどね。少なからず読んでくれる人もいるのでできるだけがんばります。
今日はそんな映画の「東京物語」です。デジタル・リマスターをしてくれて本当に助かりました。古い映画は聞き取れないことが多々あるので。いやあ映画見るの億劫すぎたんですが、いい映画でした。小津安二郎監督の代表作ですね。「ぶらり町中華」でも店主が「この映画好きすぎて東京ラーメンってメニュー名にしたよ」って言ってました。それもわかりますよ。
いろんな感情を抱かせる映画ですよね。後述します。
リストによると
ジャンル:しみじみ
監督:小津安二郎
コメント:世界中で愛される小津監督の名品。独特のローアングルのカットと、伝説の女優・原節子を見よう。
リストより
ってな感じ。小津安二郎監督他なんか観たような気がするんですが何でしたかね。ググります。
すいません勘違いでした何も観てません。まあまあそれはさておきですよね。名品ですよ!ほんとに。しかも名品って結構ピンきりじゃないですか。特にローカル名品は振れ幅でかいですよね。これはちゃんと上振れの方の名品です。
この「ローアングルのカット」っていうのはパンチラというか盗撮カメラみたいなものじゃなくてですね。登場人物たちが座ってたり、寝てる高さと同等なカメラ位置になっているということです。名誉のために言いますがガチ盗撮の動画なんて観たことないですよ。ひねり出して企画ものです。ちゃぶ台とかに置いて取ってるのかな??ってくらいローアングルですね。あとは風景とか列車とかもいわゆる煽りっぽいカメラ位置でした。そしてもう一つ気づいたのは、ピンショットがすっごく多いんです。普通日本映画の家族の会話って、電気映したりとか、食卓を映したり、引きで家族まるごととったりするじゃないですか。マジでセリフを言う毎にそいつ映すんですよ。あれ俳優さん達すっごく大変だっただろうなあ。観客の目が全て発言者に向かいますからね。毛穴ケアの話とかでなく、表情から姿勢から、何も気を抜けないですからね。
そのピンショもいい味出してました。
そして原節子さんの役は素晴らしいんですが、俺が捻くれているからなのか、それとも暗に伝説ってそっちの意味だよ、ってコメントで書いてるのかも知れませんね。
巨匠・小津安二郎の名作をデジタル修復したニューデジタルリマスター版
撮影チーフを務めた川又昂の監修の元、4Kスキャニングによるマスターを1コマ単位でデジタル修復。失われつつある家族の絆が、静かに、そして鮮明に蘇る。
住み慣れた尾道から20年ぶりに東京にやってきた老夫婦の周吉ととみ。長男や長女と会うも、彼らの生活は苦しく、暖かくは歓待してもらえない。唯一、次男・昌二の未亡人・紀子だけは優しかった。後日、尾道に戻ったとみが脳溢血で死亡する。
U-NEXTより
といったあらすじです。これ勘違いしてほしくないんですが、「失われつつある家族の絆」が静かに鮮明に蘇るって、多分内容のことじゃないんだと思うんですよね。けっしてこの家族が元の家族に戻ることはないんです。そういう離散していく家族の絆、そういう状況がデジタルリマスターされてますよってことだと思います。最後は切ない終わりなので。
あと登場人物紹介も、「周吉」と「とみ」です。「周吉ととみ」ちゃんではありません。昔のおばあちゃんがこんなビッグダディの娘みたいな名前なわけないです。「とと!」とか呼ばれてるわけ無いじゃないですか。勘違いしないでくださいよまったく。
あらすじにもありますが、せっかく久しぶりに親が来たのに、ちょっと冷たいんですよね。飯もまあ適当でいいだろ、とかピンショットで言うし、泊めるの面倒だから熱海の温泉いかすか、って言って若者が泊まる格安の居酒屋みたいなのと一緒になってる宿に泊めさせるし。まあわかりますけどね。ここだけ読むと「ひっどーーーい!」って思うかも知れないんですけど、実際見るとまた違ってくると思います。いろいろ。
そして優しいのりちゃん。死んでしまうとみちゃん。そんな感じです。
どんな映画?
これは非常に、なんだろう。フローチャート図みたいな映画ですかね。迷路とか、路地とかいろいろ考えた結果、今の知識で編み出せた例えが「フローチャート図」です。ボキャ貧で悲しいです。
なんか年、性別、家族構成、性格、地域とか、観る人が持つパーソナリティによっていくらでも見方が変わる映画だと思いました。おばあちゃんがふらついています→心配or早く立て?みたいな感じです。もちろん感じ方も十人十色というか観た人の数だけ理論で変わると思います。
小中学生くらいから観て、自分の中でなんか感じる人も絶対いますよね。中学生の子が「おれおばあちゃん大事にしようって思ったんだ・・・」とかうるうるしながら言ってたらハゲそうです。俺がかわいいおねえさんだったら犯罪犯してますよ。きっと繊細な子ですよね。
そんなことは置いといて、登場する人物たちの中で絶対自分にマッチする人がいるんですよね。まあ人間なので誰かの子供だし、孫だし、兄弟だし、親じゃないですかだから何かしら思うことも感情移入してしまうこともある映画だと思います。邪険にされてしまう老いた父母を見て、可哀想だとも思えば仕方ないとも思うし、唯一やさしいのりちゃんの葛藤が溢れてしまうシーンでもいろんな気持ちが沸いて来るはずです。多分この映画見ておんなじ感想って生まれないと思いますね。私は祖父母も元気なのでこの老いた両親をそこにアジャストさせることもできますし、横で寝っ転がっている母親に思いを馳せることもできるし、出てくる孫ちゃん達の気持ちもわかるし、優しくするのりちゃんの気持ちもわかるし、ヤリマンみたいな感想ですってフローチャートに書いてありましたよ。
基本的には切なくなったり、寂しくなったり、慈愛に満ちた表情になったりする映画だと思いますが、今の人が見たらどうなんですかね。私達とはきっと違う刺さり方をする人もたくさんいるじゃないですか。傷ついてしまう人もいますよねきっと。
ほんといろいろある映画です。
好きなところ
全体的に喋りかたが良いです。ゆりあんが真似する昔の日本映画みたいで好きです!あとピンショットが良いですね。比較しやすい。表情やら仕草やら分かりやすくていいですね。なんか膝が良くなる粒薬のインタビュー風CMっぽいとこもありますがね。
好きなところはもちろん優しいのりちゃんが、言ってしまえば他人な二人に優しくして、東京を見て回るシーンです。良いですね。後の思いを聞いてからよく表情等観察してみたいです。なんせ伝説の女優ですからね。狭いアパートに二人を招いて出前でカツ丼かなんか頼むとこなんて最高です。絶対たくあんも付いてましたよ、あの食器の感じ。良いですね。
好きなセリフは、長男のクソガキ共のセリフです。こんな喋り方の子供実在するのかわかりませんが、腹が立ちますね。でも僕も孫なのでよくわかります。孫あるあるでしたね。
そして伝説の女優の件なんですが、私だけかも知れませんけど顔怖くないです?なんか顔から感じる印象が一番悪い女っぽいんですよね。ありえないんですけどね、絶対。でもピンショされるせいでもう後半からそう思えるんですよ。こいつもしかしてあざ笑ってね???みたいなありえないですよ。ほんとに。遺産狙ってね?とか頭によぎっちゃってうざかったですね。原節子さんの表情と私の相性がいまひとつだっただけだと思います。彼女の葛藤は痛いほどわかりましたからね。
まとめ
なんか最後にすっごく野暮なこと言ってる気がしますが、忘れてください。これも一つの感じ方です。この映画はそういう映画なんだと思います。誰がいつ観るかで、感じ方が異なると思います。今日は小津安二郎監督の名品だったので良かったんですが、マジでそろそろ秘密兵器が来てくれないと厳しくなってきました。100本への道はまだ遠いし、ここ書き終えてもフェイスブック用の文章書きが待ってるんですよね。ガチでめんどくさいですあの文章かくの。なんか内容かぶったら恥ずかしいし。