ヒモ夫の日常

駄文、愚文

大学生と名画その53「ツィゴイネルワイゼン」(1980年)

ツィゴイネルワイゼン」(1980年)

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こんにちは。ちんこ主義ってなんなんでしょうか。東京都知事選挙ですね。意味がわからない人は「ちんこ主義 東京都知事選挙」でグーグル検索してみてください。

今日はそんな映画の「ツィゴイネルワイゼン」です。クラシックかなんか名曲のタイトルですね。ツィゴイネルワイゼン。このサムネイルとあらすじ、再生時間、どれをとっても「やべー」としか思いませんでした。どうやらカルト的?そういう次元じゃない気がしますが、熱狂的なファンも多いという「鈴木清順」監督の代表作らしいです。

まずこの映画を再生して、5分そこらですぐに停止しました。そしてネットへGO。作品や監督を調べまくりました。まーーーーーーじで意味わからないからです。意味わからないという表現でさえ表すことができません。正直、友人やSNSなどで「意味分かんない映画だよ」とか「理解できない」とか言葉を使って表しましたが、心のなかではそうじゃないんだけどなあって思いながら打ってましたね。とにかくなんか知りたくなりました。監督や作品のWikipediaからインタビュー記事、映画批評の個人ブログ、Twitterのつぶやき等、できるだけ調べてみました。少し先入観が付いてしまったので、後悔している部分もありますが、なんかそうでもしないと観ていられないんですよ。やっぱ人間って知らないことが怖いじゃないですか。ドキドキ・ワクワクする域を超えた未知なんですよね。なんか作品とか監督について少しでも情報がないと怖かったんだと思います。だからなんか意味分かんない・理解できない、というか怖いからとりあえずなんか知りたいみたいな。そんな感じですよ。現代の20代の私が観て、正直笑えるセリフとかショットが多々ありますが、どうして良いのやら。ブログの導入部分にも関わらずこんなに書いてしまうほど、怖い映画でした。ここでブログ締めてもいいですかね。

リストによると

 ジャンル:問題作

監督:鈴木清順

主演:原田芳雄 樹木希林

コメント:一枚の奇妙なSP版にとり憑かれた二組の男女の物語。たまには「清順ワールド」にどっぷり浸かる。

(カンカンリストより)

 です。本当に問題作だと思います。そして樹木希林ってドーンって書いてますがほぼ出てきません。コメントもこういう言い方するしかないと思います。この清順ワールドにどっぷり浸かるっていう言い方がほんとうに秀逸です。よくお笑い芸人とかにも使いますよね。バカリズムワールド全開!!とか、くっきーの世界観に付いてこれるか?!みたいなの。たしかに独特ではありますが、そういうのも大抵適切なリアクションが取れるじゃないですか。特にお笑いなんかは「笑い」っていう方向性がありますからね。

でも本当にこの映画は「清順ワールドに浸かる」としか言いようがないです。笑おう!泣こう!とかじゃないんですよね。ディズニーランドに行くのと全く同じだと思います。ライブに行って歌を歌ってきた!とか動物園に言って動物見てきた!とかじゃないじゃないですかああいうところって。ディズニー行ってきた!!ってそれだけで成立すると思うんですよね。なんかそこで飲食したり、乗り物に乗ったりとかもありますけども、あの舞浜駅から歩いてあのゲートをくぐった瞬間の感じですよ。もはやその土地に足を踏み入れて建物とか人たち(店員含め)に触れて帰ってくるみたいな。それと一緒で、「清順ワールド浸かってきた!」なんですよね。この2017年まで生きた93歳のおじいさんの精神世界をわざわざ見に行ってるような感覚。決して、火垂るの墓見て戦争の悲惨さを学んできた!とかファインディング・ニモ見て自立と子離れ学んできた!っていう感じじゃない気がします。もちろんテーマだったり、メッセージとかないわけではないと思うんですけど、それってなんかこじつけな感じがするんですよね。いろんなレビューを見ましたが、現世とあの世の間を描いているとか、生と死の物語だとか、なんかたくさん解説されているんですが、全く僕の中で何も腑に落ちないと言うか。「いや言いたいことわかるけど・・・」ってなってしまう。もはや腑に落とそうとする行為自体がなんかバカバカしいような気がしてくるんですよね。だからピクサーのような教訓映画みたいなものとは全然違って、なんか美術館言ってるみたいな。もうわかりません。とりあえずここに無駄なことを書きすぎている気がします。

独自の映像美で熱狂的なファンを持つ鬼才・鈴木清順が手掛けた”浪漫三部作”の第1弾

国内外の映画賞を多数受賞し、清純美学の真骨頂と賞された鈴木清順の代表作。極彩色の映像美と難解かつ奔放な構成、濃密なエロティシズムで見る者を虜にする幻想奇譚。

士官学校の教授・青地豊二郎と、元同僚で無頼の友人・中砂糺は、旅先の宿で弟の葬式帰りだという芸者・小稲と出会う。1年後、結婚したという中砂の家を訪ねた青地は、新妻の園を見て驚く。彼女はかつて旅先で読んだ芸者・小稲と瓜二つだった。

(U-NEXTより)

 って感じです。ほんと俺も追っかけたくなりました。このリストが終わったら見る映画を決めていますが、ビリー・ワイルダー監督作品と、鈴木清順の浪漫三部作をとりあえずみたいです。ほんとに別に面白くもなんともないっていうか怖さ(未知な)しかないので、もう少し近づいてみたいっていう興味心です。まじでこれをいいっていうことで己に箔をつけようとする浅はかな考えではありません。

映画雑誌のランキングとかだけではなく、日本アカデミー賞、なんちゃら映画祭でも賞を受賞。そして国内外の映画監督たちからもいろいろ声があるみたい。まじで映像に関して素人過ぎてどうして良いのかわからない。ゼミの教授が「奥深い」って危険な言葉なのかもしれないって言ってて使わないようにはしていますが、もう深淵を見たような感覚があります。ものづくりってこんなにも深いのかと思いました。映画監督たちって本当にすごいと思います。稀有な存在です。たっっっっっくさん名作と呼ばれる映画があり、その対極の深海1万メートルみたいなとこに位置してる監督にもしっかりと光があたっているじゃないですか。こんなにも深い海原をみてよく自分の船でたびに出ようと思いますよね。それだけの愛情がないと本当にやっていけない。絶対自分のなかで創作をするなかで嫌でもいろんなモノが蘇ってくると思います。それをはねのけて自分の作品を作っていくって超大変な作業ですよね。こんなの誰でも想像できることだと思いますが、この作品見てなんか実感しました。それと同時になんかワクワクもしていますね。なんかこんだけやるとどんな世界が見えてどんな身体になるんだろうって思います。

ストーリーのあらすじはあってないようなものです。

好きなところ

小休止のコーナーです。

まず冒頭シーン。山田孝之みたいな原田芳雄さんが女性の自殺に巻き込まれています。どうやら海岸でモメて、女性はそのまま海に落ちた模様。そこで流れ着いた死体とその場に居たであろう原田芳雄が、地元の人達に囲まれている。どうやら殺したと勘違いされているようです。そこでまあもうなれましたが、奇妙な音が流れます。ホント変です。そしたら女性の足の間、股の方から「カニ」出てきます。しかも普通にカニが出てくるなら、死体を食ってたのかなとか、まあなんか受け入れられますが、当時の粗めのCGのカニがドンドンでっかくなってくんですよ。多分意味がわからないと思いますがそれで良いはずです。そこでもうなんかすごいなと思いました。まさに深淵ですよね。そこが好きです。

後は謎の英語シーン。医者が登場し、解剖を頼まれていそがしいんだよねーとかいいながら氷水で手を洗うんですよ。それで助手に嗅がせたら助手が「ザッツオーケー!」っていうんですよね。笑いました。

あとはカニのシーンの後の原田芳雄さんの「食ったな?」の言い方です。あんな言い方できません。俳優さんもすごい。

後は有名なシーンの水蜜桃を食うシーン。あと原田芳雄さんが親友の奥さんを変な担ぎ方するシーン。いきなりお化け屋敷みたいな、赤いランプが付くシーン。とまじでおもしろい映像の連続です。まあいっさい訳がわからないんですけどね。やっぱこれだけ書けるほどなんか、清純美学とかいうやつはすごいみたいです。なんかおもしろい映像がずっと流れている感じ。苦痛ですけど。

まとめ

監督は、「難解だとか、色々言われても良い、こっちだって勘で作ってるから。何かが伝わればいい」みたいなこと言ってましたね。もしかしたら作り手はこんなもんかも知れないですよね。いろいろ語らなかったり、ミステリアスな感じになりがちですけど、自分が撮ってみたいことを撮ってるだけなのでどう解釈して頂いても結構結構!!って感じなんじゃないでしょうか。なんかそういう不敵な感じというか身勝手な感じじゃないとやってけないですよね。世界中が見てなんやかんや言うのにいちいち私が言いたいことはこうで!!とか言ってるときりがないですし、なんか単なるワードで伝えきれるならそもそも映画なんて撮らなくていいわけですからね。本なりTwitterなりに書いてしまえばいい。映画を取る意味というかそういうのが現れてる言葉だし、そういう映画だと思いました。なにか創作活動に対するハードルが少し下がったような気がします。どうやってテーマを持ち、それを伝えるか、それがでかいことだと思っていましたが、そうでもないみたい。ですが逆に、そのテーマ、軸のようなものが揺るぎなく底にあってそれをこんなふうに映して本能的に気持ちよくこの映画を作っているとしたら絶望しますよね。誰にもこんな事できませんよ。やべーです。

超面白いことを考えることができたと思います。このブログは永久保存版かも。はてなブログが倒産したらここも閉鎖されかねないのでコピペしてワードで保存しとこ。