ヒモ夫の日常

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【名画感想・解説その9】「運動靴と赤い金魚」(1997年)

「運動靴と赤い金魚」(1997年)

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子供はみんなやるんですね

こんにちは。あまりにほっこりした映画に、エモい気分になっている俺です。

今日の名画は「運動靴と赤い金魚」。貧しい兄妹の小さな日常を描き、アカデミー賞でも候補作となった感動の名作ですよね。

いや知らねーーーーー!!初めて聞いたーーーー!!

本当にほっこりとする映画でした。というか突っ込んでいると4キロ走るよりも疲れてしまうので、全てを放棄し「ほっこり」を享受したのです。

さてどんな映画でしょうか。

リストによると

ジャンル:意外な快作(B級名品って書いてました)

監督:M・マジディ

主演:無名俳優たち

コメント: 〈失くした運動靴〉〈兄と妹〉=これだけで映画ができる!!イラン映画。日本人が忘れたひたむきさに感動

方程式つくるの下手すぎん?足してんの?だとしたら=名作とかだろ。この後のリストを見ていると「スタンド・バイ・ミー」も同じジャンルでした。もしかしたら母親のせいでスタンド・バイ・ミーを過大評価しているのかもしれません。

いけない。映画は比較するものではないですからね。「ミッドサマー」が終わった後の劇場で、「私はムカデ人間のほうが好きだなあ」(超絶オタク早口女)を耳にしてから映画の比較はしないと心に誓ったんです。ではあらすじを。

運動靴をなくした貧しい兄妹の姿を暖かく綴る感動ドラマ

貧しい家庭で暮らす少年・アリは、修理してもらったばかりの妹・ザーラの靴をなくしてしまう。親にはその事実を言えず、二人はありの運動靴を共有することに。そんなある日、マラソン大会の3等の商品が運動靴だと知ったアリは、3等を目指すことに

幼い妹のためにひたむきに頑張る兄の姿が胸を打つ。貧困問題と家族の絆をユーモアを交えて抽出し、イラン映画として初のアカデミー外国語映画賞候補作となった。 

 まず言いたいことは、ユーモアあったっけ?

待ってお笑いやユーモアには敏感だし、映画で出てくる笑かしポイントでは必ず笑うようにしているんですが。これが誰も傷つけない笑いか。ほっこり笑いでした。

古くなった靴も買えないほど貧乏なお家です。家賃も滞納、八百屋さんにはツケ払い。お父さんは仕事(何をしているか明かされない)にいってしまい、ギックリ腰になってしまった母親は大家さんに詰められ、帰ってきたお父さんはイライラしている。おまけにお兄ちゃんが靴をなくしてしまい、学校には靴がないといけないし。

イランでは学校が女子午前、男子午後なので妹は兄の靴で学校にいき極ダッシュで帰ってきて、親にバレないとこで履き替えて、兄が極ダッシュするという、脳筋な解決法でしのぎます。その間、用水路に靴を落としたり、兄の遅刻が原因で先生に目をつけられたりなど、小ネタ臭がすごい嫌なことの連続。

なんか悪いことばっかり起きますが、子役のお兄ちゃんの表情というか顔面の構造のおかげで非常にソフトな印象を受けます。かわいい(^^)

子供たちがメインの映画なので子供たちのクロースアップが非常に多い。そのおかげで過酷ながらも純粋にひたむきに生きてる子達の雰囲気が映画全体を包んでいる感じです。よくこんなこと思いつくな俺。見てるときは「書くことねえ」って思ってるんですが。

一言でいうと

「アリがひたすら健気な映画」です。この欄は友達にどんな映画なん??と聞かれたと想像して書いています。

もう主人公がひたすらに健気です。家族のため、そして妹のためにとにかく頑張る。勉強もスポーツもお手伝いもなんでもできる頑張り屋さんなんです。そして顔もかわいい。あとすぐ泣いちゃう。

そしていいとこは、妹が良い子すぎないこと。すごい優しいお兄ちゃんで、妹まで我慢強くて優しくて、可愛くて、、だと「こんな兄妹いねえべ」ってなっちゃうんですが。割とワガママだし、リアルなとこもあるんですよ。末っ子感というか。あの辺りのキャラ設定は絶妙です。

私の名作(アニメでも漫画でも)の条件は、リアリティとファンタジーのバランスが上手いこと。この兄弟の設定で上手いことバランス取れてますね。

後は、今流行りの「M~愛すべき人がいて~」並の踏んだり蹴ったりな出来事ばかりなんですよ。笑えます。でもあまりにもアリが頑張るもんだから。

好きなところ

お父さんが、なんか農具をもらうんですよ知人から。それで休みの日に自転車で二人乗りしてアリを連れ、小金持ちたちの住宅街に出向き、庭師として仕事をしに行きます。もちろんド素人だし、芝刈りや除草剤や農薬まき、その他雑用をこなすだけ。

手当たりしだいに、インターホンを押し父親がセールスマンのごとく声をかけていくのですが、なんとコミュ障をはっき。だったらチャリでこんなところまで来るな。何だその行動力。別に使いなさい。そこでお利口さんなアリは父に変わり奮闘。そこで一軒バカみたいに広い庭の仕事にありつく。バカみたいなお金を報酬として受け取ります。

そこで笑顔になる二人。行きの自転車よりも楽しそう。そこで「一ヶ月仕事を休んで、夕方この仕事をしよう!お金にもう困らないかも!」という大人らしからぬ発言。ここまで悪い事ずくめだったのに、超ビッグマウスかます父。嫌な予感がよぎります。

そこでもアリは欲しい物を聞かれても妹の靴を頼みます。泣けます。その数秒後、坂をとばして下る父。見事にブレーキがぶっ壊れ木に激突。普通に事故ります。

いや、もっと捻れる!でなくともお母さんの怪我が悪化し病院へとかで良かった気がしますが、それでお金は治療代へ。靴も後回し。

このアララ.....な感じが好きです。ごめんねアリこんなブログを書いちゃって。

まとめ

そこからあらすじにもある、マラソン大会に繋がります。その大会までの家庭もアリが健気すぎて泣けます。各学校で6名しか出れないマラソン大会で3位になれば靴がもらえるんですね。アリは二人一足で使ってきたボロボロの靴で懸命に走ります。その商品の靴と女の子用の靴を靴屋さんで交換するために。マラソンは普通に那覇ラソン位人いてビビりました。

アリは何度も挫けそうになります。ですが妹の顔やセリフが浮かび必死に走ります。途中必死過ぎてぶっちぎってしまい減速する微調整も見せます。君は中間管理職じゃないんだから、そこまでしなくても。

それで結局頑張りすぎて、一位になってしまいます。そして一位の商品は紙袋に入った得体のしれないもの。結局劇中でも明かされることはアリません。3位だけ超ごつい靴。

アリーーーーーーーーー!!なんて可哀想なんだ。妹との約束果たせず。帰ってきた兄の浮かない顔を見て妹は得意のダッシュで遥か彼方へ。(その間に父親の自転車に靴が二足乗ってる描写が!!)アリは足がまめや靴擦れだらけ。ボロボロです。足を冷やすために家の前の池に浸かります。そうすると赤い金魚達(ところどころ印象的な金魚のカットが入ります)がアリの足元に集まってきます。

そして映画は終わります。

ほらね。ほっこりしか出てこないでしょ。

どうやらイランでは赤い金魚は幸運を表しているようで、もうすぐお父さんが靴持ってくるぎょぎょ!!ってな感じです。エンディングは脳内で保管しなさい!全部が全部見せるわけじゃないよ!ってことです。こういう映画今では見なくなりましたよね!「ヨルゴス・ランティモス監督系」というか。

これが現代の映画だったら、ラストを流せ!!とTwitterで大荒れしたはずです。お父さんが買ってきた靴を見てもはたしてアリは喜んだでしょうか。

結末まで全部書きましたが、きっとこの映画誰も見ないので良いでしょう。なんと3,000字も書いています。絶対そんなに書く映画ではないことだけは確かです。

もっと軽く、かけるよう善処しますやばいです。これ。