大学生と名画その7「Easy Rider イージー・ライダー」(1969年)
「Easy Rider イージー・ライダー」(1969年)
こんにちは。イージー・ライダーのビリー(写真左)より髪が長かった、俺です。
ちょうど映像論という授業をとっていて、いい作品とは?というテーマでオリエンテーションをしました。ある作家によると「私達に感動を与えつつ、簡単に感動しない強い精神を涵養するもの」らしいです。
昨日の、ロレンスを乗り越えた私にどんな映画が待っているのか楽しみです。
で、これよ。またアクの強い映画でした。いやあ、まいったね。
リストによると
ジャンル:問題作
監督:D・ホッパー
主演:P・フォンダ/D・ホッパー
コメント:自由を探してバイクをぶっ飛ばす男二人。その旅のはじめに時計を捨てるシーンが印象的だ。時計を捨てたい人にお勧め(カンカンリストより)
だそうです。たしかにそうでした。時計のシーンは序盤の序盤。最初は、爽快感あふれる映像美と二人のやんちゃな感じ、バイクのかっこよさ、そして音楽も有名なやーつです。ボーン・トゥ・ビー・ワイルドですね。気持ちい映画でした。でもどんどん問題作の臭いが...
反体制的な若者二人がバイクに跨り、アメリカ横断の奔放な旅を始める。道中、酔いどれ弁護士も加わり、自由の国アメリカの幻影を求め南部を目指すが...。 (Netflixより)
っていうストーリー。コカインかなんかを売って大金を手に入れた二人は、マルディグラっていうニューオリンズでやる大祭りに行くために、バイクでLAからぶっ飛ばして行くの。大都会から田舎に行くにつれて、この時代のアメリカのリアルが浮き彫りになり、あの衝撃のラストに繋がります。
あまりに自由な映画なので、思わずWikipediaで調べると、衝撃のラストって書いてあるから、最後まで見たら、衝撃のラストだった。小泉進次郎みたいになりました。
割と、アメリカのこの時代の、差別とか反対運動をテーマにした映画はありそうですが、こんな映し方したのはないのかなとも思います。よーわからんすぎて、解説等を調べると、当時の映画界では衝撃的な作品だったそう。まあ、あんだけ素直に表現してればね...。
一言でいうと
「欲望映画」でした。内容も、表現もそんな感じです。
すごい爽快で、かっこいい映画なのかと思っていましたが、シーンの切り替わりがブッツリされていたり、なんかエヴァみたいにパン!パン!って進んだり、戻ったりみたいな意図的に違和感を抱かせる変なのがありました。今年流行した、「ミッドサマー」のようなヒッピーが出てきたり。まあ他にもいろいろですよ。見てください。説明もめんどいので。
ストーリーもそうです。お金いっぱいあるし、自由なんだから自由に走って、飲んで、食べて、クスリやって、遊ぼうぜ!!!!みたいな感じ。この時代は、すごい拘束されていた時代のようで、反体制(カウンター・カルチャーというらしい)を臭わせすると、即逮捕、事実上処刑。まあ悪ぶったりとか、身なりとかです。男が長髪にしているだけであの有様ですから。そんなリアルの中で全部の欲望を発散したような映画です。
好きなところ
ジャック・ニコルソン全般好きでした。途中で南部で幅を利かせる弁護士役で出てくるのですが、イカれやろうでした。画面に現れただけでなんかもうすごい惹きつけられました。
特に酒を飲んだ後に「ニッ!!ニッ!!」って叫ぶのがたまりませんでした。死に様も最高。
後一瞬ラストシーンのカットが入るのも良かったです。時計を捨てるのも自由の象徴ですね。飲食店に入ってまるでコントのような悪口を言われまくるのも笑いました。ほぼドキュメントをみるような感覚で良いと思います。
まとめ
何も考えずに見れる映画が見たいとは、思いましたが、コレジャナイ感が強い。最初こそ気持ちよく見ていましたが、途中から急に現代アートみたいな作風になっていくので、心臓がびっくりしました。
ネットの海をさまよっていると、当時のアメリカ南部と北部では感想が違うだろうという意見があり、南部では「当たり前でしょ、ざまーみろ」に対し「これが自由の国我がアメリカなのかい?」ってなっていただろうと。それほどリアルに、かつ激しく素直に作られた映画なのだと思います。娼婦とドラッグキメるシーンがあるんですが、そこでの聖書の朗読と、南部で娼婦をしている女性たちの腹の奥からでる叫び、サイケな映像の連続転換。一定数の大学生が、「これはアートだよね(美術は義務教育のみ受けた)」といいそうな映画でございました。面白かったです。