ヒモ夫の日常

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大学生と名画その5「アラバマ物語  To Kill a Mockingbird」(1962年)

アラバマ物語  To Kill a Mockingbird(1962年)

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スカウトちゃんがとっても可愛いです!

こんにちは。今日の名画は「アラバマ物語」。冒頭のシーンから何やら名作の予感がプンプンしていました。かえって白黒のほうが見やすいとさえ感じてきました。

コメントやアマプラのあらすじを見ると、どうやら人種差別を題材にした映画だとわかり、始まり方とのギャップと言うか、なにやら感じました。「グレートディベーター」って映画もディベートと人種差別をテーマにしていましたし、やはり重要でありポピュラーなものなんですね。ではあらすじ。

リストによると

ジャンル:じみじみ(しみじみでは?)

監督:R・マリガン

主演:グレゴリー・ペック

コメント:常にDVD貸し出しトップの名作。原作は「ライ麦畑」と並ぶ米現代小説の双璧。とても静かな映画だが、見終わるとジーンとなって、モリモリ元気が出てくるのは、なぜだろう?(カンカンリストより

だそうです。確かに最初は静かで穏やかな雰囲気で始まりますね。この見終わった時の感想もわかる気がします。例によってU-NEXTからの引用も載せますね。

差別と戦う弁護士の父を子供の視点から描いていく社会派ドラマ

1932年のアメリカ・アラバマ州幼い息子と娘と静かに暮す弁護士、アティカスは、白人女性暴行の罪で訴えられた黒人男性・トムの弁護を依頼される。人種偏見の強い町の人々は冷たくあたるようになるが、アティカスは正義を重んじ、弁護を引き受ける。

信念を持つ男の法廷ドラマとしてはもちろん、子供の目から見た大人の世界を描いた作品としても、見応えがある。我が子を教え導く父親としての姿にも感動させられる。 (U-NEXTより

 安心安全のU-NEXTです。分かりやすい&見たくなる(すでにもう一回みたい)概要欄です。アマゾンプライムでみたので、見終わった後にこれを読んだんですが、これだけでもいい映画感が出ていますよね。

ところどころ、アメリカの昔の小説っぽいものが見られましたが、割と淡々と静かに時間が過ぎていきます。散々書かれていますが、「子供の視点」というのも私が最初にギャップを感じた要因だと思いますね。こういった社会問題を取り上げたものは重たいイメージがありますが、よく考えると、子供やディズニーによくある動物・モノに例えて表現することも多いですよね。

一言でいうと

「徹底された映画」だと思いました。様々な面で。

まず、このテーマが異常なものであるという主張。作中での主人公である兄妹の、父親の「正しさ」の徹底ぶりも見事です。「子供を育てる」とはどういうことか、これも徹底した考えを元に表現されていました。

徹底を感じたのは中身だけではありません。

「子供の視点」とありますが、ほぼ全てのシーンに兄妹が登場しています。そしてカメラ=子供たちの目」になっています。

どういうことかというと、意図的に大人たちだけで会話するシーンをカットしていると思います。裁判も映画の重要な要素なので、頻繁に父親が裁判所に行ったり、被告人であるトムの家に行ったりしますが、実際裁判が始まるまで私達は何も知りません。どういう事件で、被告人はどういう人でこの町の根底にどんな禍々しいものが溜まっているのか。何も知らされないんです。というかセリフでの説明が非常に少ない。(もう大人なので色々想像できますが)ちょっとわかりにくいですね。

例えば、被告人トムの家にお父さんが行き、それに子供達もついていきます。そして家に到着、父親はその家に入ります。そこで家の中のカットが入り、トムと弁護士の父親との会話...といったシーンになっても良いのですがそれがないんです。あくまでカメラは車内にいる子供達を撮り続け、彼らに起こったことだけを描く。

そして町の大人たちが悪いことをしているシーンにも必ずそこには子供達もいるんですね。

だから見ている私達も、その子達のように、不安や大人への恐怖、この町への不信感が湧いてくる。子供たちの目に映っているものしか、画面にも映さないという徹底した演出がこの効果を生み出していると思います。

あと父親であるアティカスの姿勢がとてもかっこいい。何をされようが子供の前で自分なりの正しさをもって、立っています。

理解できたかな。

好きなところ

とにかく子供たちがかわいい!!!!長男のジェムと妹のスカウト、近所の金持ちのガキ、ディルの3人の子供が主軸です。彼らの冒険や遊びが可愛いんです。癒やされます。古タイヤに入って回ったりとか。そして弁護士アティカスの子供たちの成長というか、受け継いでいるものが感じられるところもいいですね。

好きなシーンは、画像も添付してますが、娘と父親が二人で対話するシーン。アティカスは初めての学校(小さな社会)での窮屈さや理不尽さを感じた娘のスカウトちゃんにきちんと向き合い、諭します。どうやったらうまく他人と向き合えるのかコツを伝えるんですね。細かいことは見て欲しいので避けますが、とてもいいセリフです。

そして好きなのは、「妥協って知ってるかい?」という父親の問いに「法を曲げること?」とかえすスカウトちゃん。さすが弁護士の娘!6歳くらいなのに!かわいい❤

裁判前夜のシーンでも、さすがアティカスの子供たちだな。と感じます。

そして目玉の法廷でのシーン、初めて父親が弁護士としての姿を見せます。それと同時に子供たちは「現実」をも知っていきます。主演のグレゴリー・ペックさんの圧巻の演技、そして裁判の過程と結果のなんとも言えないやるせなさというか、なんというか。必見です。

まとめ

終始穏やかで淡々としていて、少しファンタジーと言うか、子供目線だからこそ、なとこもあり、あっという間に見終えてしまいました。そしてそのファンタジーチックなところのせいで、久しぶりに映画を見ていて話が理解できないという現象に陥ってしまいました。これまで、「君の名は」が理解できないという不届き者を馬鹿にしていましたが、これも妥協(重要なセリフです。上手いこと言ったつもり)しないと行けないことなのでしょう。そういうところも含めていい映画でした。

見終わった後に、ジーンとして元気がモリモリ湧いてくる、と言うコメントがありましたがきっとこれを書いたのが、一テレビマン、そして一人の父親だからだと思います。

ともかく人種差別に関する説教臭い映画では全く無いです。そんな説教などいらないはずですからね。

あと、久しぶりに母親と映画を一緒に見ました。いつもは私が見たものや触れたものを熱弁するスタイルなんですが。毎日色んな人に熱弁しまくっているのに、こんなにも駄文で溢れかえっているのですから、きっと情熱のある男なのだと思います。

気づいていると思いますが眠いです。明日の名画は224分の戦争スペクタクルです。怖くて眠れないです。おやすみなさい。